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東京地方裁判所 昭和29年(行)57号 判決 1954年12月16日

横浜市神奈川区大口仲町六十二番地

原告

川崎定助

右訴訟代理人弁護士

三浦徹

東京都千代田区大手町一丁目七番地

被告

東京国税局長

脇坂実

右指定代理人

武藤英一

津野茂治

国吉良雄

多賀谷恒八

右当事者間の昭和二十九年(行)第五十七号所得税審査決定取消等請求事件について当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、被告が昭和二十九年四月五日附をもつてなした原告の昭和二十七年分所得税の審査請求を棄却する決定を取消す、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求める旨申立て、その請求の原因として

一、原告は神奈川税務署長に対して昭和二十七年分所得税に関し確定申告として総所得金額を十三万七千七百二十一円と申告したところ、右申告に対し同署長は昭和二十八年五月十八日頃総所得金額を三十五万九千円と更正する決定をなし、その旨原告に通知した。

二、原告は右更正決定を不服とし昭和二十八年六月四日同署長に再調査の請求をしたが、その請求をうけた同署長は昭和二十八年六月十二日附をもつて更正決定の総所得金額のうち十三万八千百四十五円を取消し所得金額を二十二万八百五十五円と訂正する旨の決定をなし、該決定の通知書は昭和二十八年六月十四日原告に到達した。

三、これに対して昭和二十八年七月十三日原告は被告に審査請求をしたところ、被告は昭和二十九年四月五日附をもつて審査請求を棄却する旨の決定をなし、該決定の通知書を原告は昭和二十九年四月六日受領した、しかしながら被告のなした右審査決定は何等実質的な調査に基かないでなしたもので実際の所得金額に合致しないものであるから、その取消を求めるため本訴請求に及んだと述べた。

被告指定代理人は、主文第一項同旨の判決を求め、原告主張の事実中、被告のなした審査決定が違法であるという点を除きその他の事実はすべて認める。所得税法第五十一条第二項によれば、審査決定の取消を求める訴は、審査決定の通知をうけた日から三箇月以内に提起することを要するものであるところ、原告は昭和二十九年七月九日に至つて本件訴を提起したのであるから本件訴は法定出訴期間後になされた不適法のものとして却下せらるべきものであると述べた。

理由

まず本件訴が適法なものであるかどうかについて考える。

原告が神奈川税務署長に対し昭和二十七年分所得税に関しその主張の金額を総所得金額として確定申告したところ、右申告に対し右税務署長から原告の主張のとおり更正決定があつて、その通知が原告になされたこと、これに対し原告が再調査の請求をなし、同署長は所得金額を一部訂正する決定をなし該決定の通知が原告になされたこと、原告は昭和二十七年七月十三日被告に対し右決定につき審査請求をしたところ、被告は昭和二十九年四月五日附をもつて審査請求を棄却する旨の決定をなし、該決定の通知書が昭和二十九年四月六日原告に到達したことは、いずれも当事者間に争がない。

ところで審査決定の取消又は変更を求める訴は審査決定の通知をうけた日から三箇月の期間内に提起しなければならないことは所得税法第五十一条第二項に規定するところであるが、原告が本訴を提起したのは昭和二十九年七月九日であることは当裁判所に明らかであるから、原告の本件訴は法定の出訴期間経過後に提起されたもので不適法として却下せらるべきである、よつて訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 飯山悦治 裁判官 桑原正憲 裁判官 鈴木重信)

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